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金型のスライド構造とカジリについて(ガタについて) (2015年11月10日)

金型のスライド構造のガタについての話です。過日に新規金型をあるお客様から供給されて成形トライすることがありました。成形する前に弊社では”必ず一度金型を開いて精度を確認”するのですが、手でスライドを動かすと、大変しぶく、スライドの動きがスムーズではありませんでした。これでは成形していくと完全にスライドがカジってしまいます。カジルとは鉄と鉄が溶接状態になり、傷をつけてスムーズにスライドが摺動しなくなることを言います。 そこで、社内でスライドのガイドレールやスライド本体などの垂直度、平行度などを確認したところ、0.01~0.02程度の精度が出ていませんでした。ガイドなどの既成品の部品は購入したその都度、社内の職人が1個1個の精度を納得いくまで確認し、ダメな場合は研磨調整を施します。つまり精度が出ていない場合があるということです。その”都度確認する・ひと手間!”がその会社の腕となる場合が多いです。またスライドのガタも全くなかったので、ガタ=隙間を0.04前後に製品部以外の箇所は予め作っておく必要があります。よって社内で遊び(歯車でいうバックラッシュ)を設けることとしました。スライドはインロー構造の箇所もあり、良くできているのですが、組み付け調整が不合格状態でした。やはり、最新設備で部品図面通りの部品をいくら組み合わせてところで、一つ一つの精度が出ていなかったり、組み付け時のクリアランスが後工程の熱のかかる状況を想定していない場合は、人間の手仕上げが最も効果があります。今、TVで放映されている”下町ロケット”もそのような話で展開しています。やはり最後は機械ではなく、人間の力が大きいようです。